腰痛や足のしびれを訴えて病院で検査をした方の中には、「ヘルニアです」と言われた経験をおもちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、ヘルニアの治療を続けていても、一向に症状がよくならないという方も少なくありません。
こちらの記事では、ヘルニアとはどんな病気なのかについて解説するとともに、腰痛が起こる原因と改善法をご紹介しています。腰痛でヘルニアと診断された方は、ぜひ参考にしてみてください。
ヘルニアとは
ヘルニアはもともと、体内の臓器などが本来あるべき場所から逸脱してしまった状態を意味します。たとえば腸が本来あるべき場所から逸脱し、鼠径部に出てくる病気のことを「鼠径ヘルニア」と呼んでいます。
しかし、単にヘルニアとだけいった場合、腰椎椎間板ヘルニアを指すケースがほとんどです。腰椎椎間板ヘルニアは、骨と骨との間にある椎間板から髄核が飛びだし、神経を圧迫することで腰痛や足のしびれを生じる疾患だと説明されています。
椎間板ヘルニアは頚椎(首の骨)や胸椎(背骨)に起こるケースもあるのですが、椎間板ヘルニアの大部分が腰椎に見られるため、こちらの記事でも腰椎椎間板ヘルニアを念頭に解説を進めていきます。
ヘルニアの原因
ヘルニアの発症原因としては、主に次のような点が挙げられています。
- 姿勢
- 動作
- 遺伝
- 加齢
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
姿勢
ヘルニアの原因のひとつが、日常的な姿勢です。腰の椎間板にかかる負担を見てみると、まっすぐに立った状態を100とした場合、座っているだけで140、座った状態で上半身を前に倒すと185の負荷が椎間板にかかります。
また、立った状態で前かがみになり、荷物を持ち上げる場合は220、座った状態で前かがみになって荷物を持ち上げるときには275の負荷が腰椎にかかるとされています。
デスクワークをしていると腰痛が出やすくなるのも、重い荷物を持ち上げるとぎっくり腰になりやすいのも、姿勢によって椎間板に大きな負荷がかかっているからです。
動作
特定の動作を繰り返すことも、ヘルニアを発症する原因のひとつです。たとえばバスケットボールやバレーボールなど跳躍系の競技をおこなっていると、ジャンプからの着地のたびに椎間板へ負担がかかります。
また、野球やゴルフ、テニスなど腰をひねる動作を繰り返していると、椎間板への負担が大きくなるため、ヘルニアを発症するリスクも高くなります。
遺伝
遺伝も、ヘルニアを発症する原因のひとつとされています。ヘルニアを発症する遺伝的な要因は、生まれついての骨の形状や体質などです。骨格は親から子どもへと遺伝するため、骨格が原因で親がヘルニアを患っている場合、子どももヘルニアを発症する可能性が高くなります。
加齢
ヘルニアの原因としては、加齢も挙げられています。椎間板はもともと年齢を重ねるごとに老化しやすい組織とされているため、加齢にともなってヘルニアの発症リスクが高くなるのです。
ヘルニアの症状
腰椎椎間板ヘルニアを発症した場合、主に以下のような症状が見られます。
- 腰痛
- 臀部痛
- 足の痛みやしびれ
- 歩行障害や排便障害
それぞれについて解説します。
腰痛
腰椎椎間板ヘルニアを発症した場合、腰痛の症状を訴えるのが一般的です。どちらかというと、前かがみになったときに腰痛を訴えるのがヘルニアの特徴です。
臀部痛
腰椎椎間板ヘルニアを発症した場合、臀部痛(お尻の痛み)が見られることも少なくありません。臀部には坐骨神経が走行していることから、坐骨神経痛と言われるケースもあります。
足の痛みやしびれ
腰椎椎間板ヘルニアを発症した場合、足の痛みやしびれが見られることも特徴です。原因となる場所に起こるそのような症状を、放散痛(ほうさんつう)と呼んでいます。
歩行障害や排便障害
腰椎椎間板ヘルニアは大きくわけると、神経根型と馬尾型の2つに分類されます。神経根型はどちらかというと軽症例のヘルニアで、腰痛や臀部痛、片足のしびれといった症状を引き起こすのが特徴です。
馬尾型は重症例のヘルニアで、片側だけでなく両方の足にしびれが生じ、歩行障害を引き起こすケースがあります。また排便障害や排尿障害を引き起こすことも少なくありません。そのため、これらの症状が見られる場合は自己判断で放置せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。
一般的なヘルニアの治療法
腰椎椎間板ヘルニアが疑われる場合、病院や整形外科などでは主に次のような治療がおこなわれています。
- 薬物療法
- 牽引療法
- 電気治療
- 装具療法
- 手術療法
それぞれについて解説します。
薬物療法
腰椎椎間板ヘルニアを発症した場合、整形外科などでは薬物療法をおこなうのが一般的です。使用される医薬品としては、ステロイド系の消炎鎮痛剤や血行を促進する薬、筋弛緩薬などが挙げられます。
牽引療法
腰椎椎間板ヘルニアの治療法としては、牽引療法も挙げられます。特殊な治療器具で腰椎を上下に引っ張り、神経圧迫を軽減することが目的とされています。
電気治療
腰椎椎間板ヘルニアに対しては、電気治療もおこなわれます。代表的な電気治療としては、低周波や干渉波、マイクロ波、赤外線などが挙げられます。
装具療法
腰椎椎間板ヘルニアにともなう痛みが強い場合や、動作にともなって痛みが出る場合、コルセットを利用した装具療法がおこなわれることもあります。
手術療法
上記のような治療をおこなっても改善が見られない場合や、日常生活に支障をきたすような場合、手術療法が検討されることもあります。
ただし、手術でヘルニアを摘出したとしても5年後までにおよそ4%~15%が再発するということです。術式によって、再発率が変化することはありません。
ヘルニアが腰痛の原因ではないケースも
医療機関でヘルニアと診断され、治療を受けても一向に改善が見られないことも少なくありません。また、ヘルニアの摘出手術をおこなっても、腰痛が改善しないケースも見られます。
その場合、もしかしたらヘルニアが腰痛の原因ではないのかもしれません。仮にヘルニアが神経を圧迫して症状が出ているのであれば、四六時中症状が出ていないと理論的におかしいのではないでしょうか。
ところが、ヘルニアと診断された方の中には、「朝方は痛みが強いけど、動きはじめると痛みを感じなくなる」「午前中は痛みがないけど、仕事が終わる時間になると痛くなってくる」などといった方が少なくありません。
では、ヘルニアが椎間板を出たり入ったりしているのでしょうか。画像診断でヘルニアの逸脱が認められている以上、そのようなことは考えにくいといえるでしょう。
であれば、ヘルニア以外に腰痛の原因があると考えるのが合理的といえます。実は、腰痛全体で見た場合、ヘルニアが占める割合は、たったの5%程度に過ぎません。
ではどこに腰痛の原因があるのかというと、骨や神経以外の軟部組織(筋肉や筋膜、腱、靭帯など)です。実際、腰痛を訴えてみのり整骨院に来られる方を拝見していると、腰部や臀部に強い筋緊張が見られます。
みのり整骨院の手技治療でそのような筋緊張をとりのぞくと、ヘルニアが出ている状態であっても、腰痛が消失することは珍しくありません。つまり、ヘルニアだけが腰痛の原因とは限らないといえるのです。ヘルニアが原因となる腰痛は、むしろ少数例と考えられます。お風呂で温めて腰痛が楽になるようであれば、ヘルニアではなく、軟部組織の拘縮が原因かもしれません。
まとめ
腰痛を訴えて医療機関を受診すると、ヘルニアと診断されるケースが少なくありません。ただし臨床上の経験からいうと、ヘルニアが原因の腰痛はむしろ少数例と考えられます。
もしヘルニアや腰痛が改善しないといったお悩みをおもちでしたら、静岡県浜松市にあるみのり整骨院までぜひご相談ください。お風呂で温めて楽になる腰痛であれば、みのり整骨院の手技治療で改善へと導ける可能性があります。