「膝の内側が痛くて歩くのもつらい」「しゃがんだ際に、膝の内側が痛い」などは、鵞足炎(がそくえん)の症状の特徴です。鵞足炎はランナーが抱える膝の悩みで上位に挙げられており、サッカーなどの膝の曲げ伸ばし動作が頻繁なスポーツで見かけられます。
最初は、軽い痛みや違和感の症状で安心していても、次第に歩くのもつらくなり、日常生活に影響を与える可能性もあります。
今回は、鵞足炎でお悩みの方や再発予防を目指している方に、原因や対処法など有益な情報をお伝えします。こちらの記事をお読みいただき、スポーツや日常生活への早期回復や再発予防に役立ててください。
鵞足炎とは?
鵞足炎は、膝を繰り返し曲げ伸ばしすることで、鵞足に付着する筋や腱などに摩擦が生じて炎症が起きて発生するスポーツ傷害です。鵞足炎の鵞足とは、膝の内側下方のすねの骨である脛骨周囲の部分(膝から5〜7㎝ほど下)に位置します。
鵞足部には縫工筋、薄筋、半腱様筋の3つの筋肉がくっついており、外見がガチョウの足に似ているため、鵞足といわれています。鵞足炎は、スポーツをする人によく見られますが、アスリートだけでなく日常生活でも起こることがあります。
鵞足の役割
聞きなれない鵞足ですが、私たちの膝を支える重要な役割をしています。鵞足の主な働きは、膝を安定させることです。
具体的には、ランニング動作などでケガを起こしやすい足が、ニーイン・トゥーアウトといわれる形になるのを制御する働きです。ニーイン・トゥーアウトとは、膝が内側に入り、つま先が外側に向いている状態をいいます。ニーイン・トゥーアウトは足に負担をかける原因になり、シンスプリントや疲労骨折などを引き起こす要因にもなります。
鵞足は、膝の曲げ伸ばしや膝から下を外側へひねる動作で働くことになり、ケガ予防と膝の動きをスムーズにさせる役割があります。
鵞足炎の原因
鵞足の主な原因は、膝の使いすぎです。スポーツや運動で膝を酷使すると筋肉疲労が起こり弾力が失われます。すると、合わせて腱も張ってしまい、この状態で屈伸運動を繰り返すことで、摩擦が生じて炎症を引き起こしてしまうのです。
とくに、膝から下を外側にひねる動作が多いランニングやサッカー、テニスなどが鵞足部に負担がかかりやすくなります。使いすぎによる原因以外でも、柔軟性が低下している場合やウォーミングアップ不足でも発症します。
また、スポーツ以外でも次のような生活場面での繰り返し動作で発症することがあるため、注意が必要です。
- 長時間歩く
- 階段の乗り降り
- 立ち上がり動作
- 足に合わない靴
鵞足炎の症状
鵞足炎の主な症状は、鵞足部の痛みです。膝から5cmほど下がったすねの内側を押すと、痛みがでます。最初は、運動中や運動後に痛みがでたり腫れたり、熱をもったりします。次第に歩行や階段昇降など、日常生活の動作でも痛みが現れます。症状を段階的にわけて説明します。
<初期症状>
- 運動中や運動直後に違和感や痛み
- 運動をしていないときには痛みはない
- 安静にしていると自然に改善する
<中期症状>
- 激しい運動で、痛みが強くでる
- 運動後に違和感や痛みが残る
- 安静にしていても改善されない
<末期症状>
- 何もしていなくても痛みを感じる
- 運動中は膝の内側に強い痛みを感じる
- 歩行や安静時、寝ているときも痛みを感じる
なお、治療期間は症状の程度によりますが、スポーツの制限を厳守すれば、1〜2週間程度で症状が消えます。 しかし、中期〜末期症状になると1〜3ヵ月程度かかることもあります。
鵞足炎と似た症状の変形性膝関節症
鵞足炎は主に膝の内側、鵞足部に痛みが現れますが、膝の内側に痛みを感じる似た症状に変形性膝関節症があります。次に、変形性膝関節症の特徴と鵞足炎の違いについて説明します。
変形性膝関節症は、膝の軟骨部分がすり減ることによって起こる疾患です。鵞足炎同様、膝の内側に痛みを感じますが、鵞足炎との大きな違いは原因です。
変形性膝関節症は肥満や加齢などが主な原因になり、鵞足炎は激しいスポーツなどが引き金になることが多いのが大きな違いです。その他、スポーツで起こりやすい半月板損傷や靭帯損傷などの疾患も膝の内側に痛みがでます。
鵞足炎の対処法
鵞足炎は、放っておくと痛みが激痛へと変化することがあるため、適切な対処法が必要です。次に、鵞足炎の症状の対処法をお伝えします。運動やスポーツを安心して続けていくためにも、正しい対処法を実践していきましょう。
病院で診察
鵞足部の疑いが考えられる症状がでましたら、程度に関わらず病院で受診しましょう。病院では、鵞足部の痛みと膝関節屈伸の際に痛みが伴う症状が確認されると、鵞足炎と診断されます。また、場合によりレントゲンやMRI検査などをおこない、骨や靭帯などに損傷の疑いがないか調べます。
整骨院で根本的改善
鵞足炎は、痛みを一時的に抑えたとしても、根本的改善にはなりません。筋肉の緊張状態を除去することとともに、身体全体のバランスを整えることが根本的改善につながります。整骨院ではマッサージなどの手技療法で、身体全体の機能的改善をおこない、今まで負担がかかっていた組織の緊張を和らげていきます。
また、姿勢バランスを調整することにより、今まで使われていなかった筋肉などの組織を呼び起こします。その結果、鵞足部にかかる負担がなくなるため、鵞足炎の再発の心配をすることなく、安心してスポーツや運動が続けられます。
セルフ対処法
鵞足炎で強い痛みを感じて、すぐに病院や整骨院に行けない場合は、安静が必要です。患部に熱感がひどい場合は、アイシングなどで冷やしましょう。通院後、炎症が治まってきたら専門家指導のもと、軽いストレッチで徐々に膝を動かしていきましょう。
ストレッチすることで、鵞足に付着する筋肉群を伸ばします。その結果、足を動かしたときに筋肉と腱にかかるストレスを緩和します。
鵞足炎の予防
鵞足炎は、再発しやすいことが特徴です。次のことに注意しながら、再発の心配なくスポーツや運動がおもいっきりできるように、予防をおこないましょう。
- 正しいフォームやクセの修正をおこなう
- 足に合ったシューズを選ぶ
- 太ももの裏を伸ばすストレッチをおこなう
- 運動前ウォーミングアップをおこなう
- 運動後クールダウンをおこなう
- 股関節内転筋群のストレッチをおこなう
以上のことに注意しながら、日頃からこまめなケアを習慣化していきましょう。
まとめ
今回は「スポーツの膝痛に多い鵞足炎とは?」について、鵞足炎の原因や対処法、予防法をお伝えしました。鵞足炎は、膝の使いすぎや間違った使い方、日頃から身についたクセなどが原因で起こりやすくなります。
そのため、早期回復や再発予防には患部の痛みを取るだけではなく、総合的に身体のコンディショニングを整えることが必要です。症状の程度に関わらず症状が悪化しないために、また痛みを繰り返さないためにも、近くの病院や整骨院など専門家に相談しましょう。
近くに専門家が見つからない場合や鵞足炎の根本治療が目指せる整骨院をお探しの方は「みのり整骨院」にお越しください。みのり整骨院は、鵞足炎の原因を追及していき、症状を詳しく検査して筋肉のアプローチをおこない、根本的改善に導きます。静岡県浜松市にある、20年の経験と実績がある信頼できる「みのり整骨院」に、お気軽にご相談ください。