交通事故の大きさによっては事件に発展するケースも少なくありません。その場合、裁判では一般的に過去の判例にもとづいて審理が進められます。
今回は、交通事故における裁判や判例傾向について解説します。
1.交通事故における判例とは
判例とは、裁判所が示した法律的判断、及び過去の判決のことです。
裁判では「法の公平性維持」が掲げられていますので、似た種類の裁判において裁判官ごとに判決が異なるのは不公平であると考えられています。そのため、近しい裁判は過去の判例にもとづいて判決が下されています。つまり、判例は強い影響力があるのです。
2.裁判は刑事事件と民事事件の2つに分けられる
裁判には刑事事件と民事事件の2種類があります。ここでは、それぞれの違いついて解説していきます。
2-1.刑事事件
刑事事件とは、検察官が事件の被告人に対して有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑罰を与えるのが妥当かを判断する手続きのことを指します。
日常生活のなかで、窃盗や強盗などの刑事事件を引き起こしてしまう恐れを意識して生活することは少ないでしょう。しかし、交通事故の状況によっては刑事事件に発展するケースもあります。
交通事故における刑事裁判では、主に加害者の刑の重さを判断する手続きが行われます。たとえば、意図的に運転する自動車で建築物を破壊した場合には、器物破損罪に関する刑事事件として扱われるでしょう。意図的でなかった場合でも、物損事故を起こしたときに警察への連絡を怠った場合には、刑事事件として扱われます。
自動車やバイクで走行中に歩行者や自転車を死傷させた場合には、過失であった場合でも刑事事件に発展する可能性が高いです。その場合、一般的には過失運転致死罪や危険運転致死傷罪などの罪が問われるでしょう。
通常の人身事故に対する過失致死傷罪の場合は7年以下の懲役、または100万円以下の罰金が適用されます。悪質な事故の場合は危険運転致死傷罪として扱われ、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合には1年以上の有期懲役に処されます。
一般的な人身事故の場合、必ずしも懲役刑を受けるとは限りません。任意保険に加入していて、事故に巻き込まれた被害者のケガの程度が軽い場合には、起訴猶予処分として扱われることもあります。
2-2.民事事件
交通事故における民事事件とは、加害者及び保険会社が支払うべき賠償金の金額を検討する手続きのことを指します。交通事故における損害賠償は、相手方の任意保険会社との示談交渉によって進められます。しかし、互いの意見がまとまらず、裁判に発展するケースは少なくありません。
判決が出たあとに片方が納得できない場合には、上告の手続きも可能です。一方で判決に納得した場合、交通事故の加害者には裁判所の判決に従う義務が生じます。係争中に補償に関する話し合いがまとまった場合には、示談にして裁判を終わらせることも可能です。
交通事故においては示談で解決するケースが大半ですが、状況によっては裁判にまで発展するケースもあります。
3.交通事故における刑事事件や民事事件の判例
ここでは、交通事故における刑事事件や民事事件の判例を紹介します。
3-1.被害者の救護を怠った刑事事件の判例
加害者は自転車を運転中に、進路の前方で転倒していた被害者に衝突し、胸部外傷などのケガを負わせました。その後、事件の加害者は被害者の救護、救急車や警察への連絡などの必要な措置を怠ってしまいます。この裁判では、加害者は救護措置義務違反と報告義務違反の2つの道路交通法に違反していると判断されて、懲役6ヶ月と執行猶予2年の判決が言い渡されました。
3-2.費用の支払いを拒否した保険会社に関する民事事件の判例
事故後、保険会社は長期通院をしていた被害者への治療費の打ち切りを行いました。裁判では、頸椎捻挫などによる16ヶ月間の治療のうち3ヶ月を超える期間の因果関係が争われ、治療を受けた被害者には不正に治療費を受け取る意図はなく、医師も必要な治療を行っていると判決が言い渡されたのです。その後、保険会社には請求通りの治療費全額およそ317万円の支払いが命じられました。
4.まとめ
判例とは裁判において特定の事件における裁判所が示した法律的判断のことで、交通事故に関する裁判については過去の判例にもとづいて判断されます。裁判には刑事事件と民事事件の2つがあり、示談がまとまらない場合や保険会社による治療費の支払いが打ち切られた場合には、民事事件で争われます。
一般的に交通事故では示談でまとまるといわれていますが、状況によっては民事事件にまで発展する可能性も少なくありません。「みのり整骨院」では治療だけではなく、交通事故に関係したさまざまなサポートを提供しています。浜松市で交通事故に遭遇した場合には、当院のサポートの利用をご検討ください。